需要が高まっている

看護師の雇用形態について

医療業界では人手不足により一時的に看護師の増員を必要とする病院が増えてきており、期間を限定して働く派遣看護師の需要が高まってきています。激務やハードな勤務スケジュールの影響により医療現場を去ってしまう看護師が多くなってきているのも要因の一つでしょう。その状況を回避するための働き方として注目されているのが派遣看護師という新たな雇用形態です。ここでは、看護師の人手不足解消と多様な勤務スタイルを叶える派遣看護師という働き方について詳しくみていきましょう。

経験豊富なベテラン看護師を求める傾向がある

現代の医療技術は日進月歩といわれるほど進化が目覚ましいですが、その進化についていくためにはある程度の知識と技術が必要となります。特に看護師は様々なニーズに応えるため、医師の専門的な知識や看護師の汎用的な知識など、幅広い知識力が求められるポジションです。また、知識ももちろん重要ですが、雇用する側にとっては看護スキルも同様に必要としています。

急患が増えた時や看護師不足になった時に、一からの指導が必要な新人看護師よりも即戦力となる派遣看護師の方が頼りになると考えるでしょう。そのため、ベテラン看護師が多い派遣看護師を求めてしまう傾向があるのです。その中でも特に、総合病院で様々な診療科を経験してきた人や一つの診療科に長く在籍していた人、後輩の看護師たちの教育者としての経験がある人などは、派遣看護師として重宝されるでしょう。

その他にも、ベテランの派遣看護師が入職することで病院側が得られるメリットがあります。それは、その職場で働いている新人や中堅看護師の良いお手本となることです。新しい風を入れることで職場の活性化にも繋がり、チームワーク力の向上が期待できます。

多くの医療施設では高いレベルの看護が求められる傾向にあるため、さらなる看護師の人手不足が問題視されています。そのため、経験豊富な看護師を確保したいという病院も多く、ベテラン看護師の転職ニーズも高まってきているのです。看護師自身もまた、需要が高い職種であることを踏まえて、ある程度の経験を積んだあとはキャリアアップを目指して転職をするケースが増えてきています。

業界の現状に合わせて、看護師の転職事情も変わりつつあるようです。

早期で辞める可能性が低く安定して雇用できる

看護師の仕事はやることが多く多忙です。そのため、激務に耐えられず辞めてしまう人も少なくありません。人手不足に陥ると病院は大変困る事態に陥ってしまいますが、そんな時に頼りになるのが経験豊富な派遣看護師の存在です。

派遣看護師は働く期間が定められているので、人手不足を今すぐ解消したい病院や忙しい時期にだけ看護師を増員したいときなど、期間限定で即戦力となる人材を確保することができます。期間内は雇用契約が結ばれているため、安定した雇用で働けるのは派遣看護師側にとっても魅力です。
さらに、派遣看護師として働くことで、様々な職場で看護経験が積めること、希望条件で働けること、人間関係での悩みが少ないことなど、メリットも多数挙げられます。そのため、派遣という働き方を選択した看護師は、キャリアアップを望んでいる、融通の効く働き方をしたい、人間関係に左右されずに働きたいといった目的意識がはっきりしているのが特徴です。持ちつ持たれつの関係性を築くことができるのも派遣看護師を雇用する魅力でもあるでしょう。

病院によっては、雇用契約を更新するところもあります。お互いの利害が一致した場合には、もう一度契約を交わして雇用契約を続行させることが可能です。しかし、簡単には給料を上げられない、ボーナスの支給ができない、派遣先の福利厚生を適用できないといったデメリットもあるため、利害が一致しないことで契約更新を見送る場合もあります。とはいえ、一時的な人材不足を解消することができるため、win-winの関係が構築できる看護師の新たな働き方として派遣看護師のニーズも高まりつつあるようです。

必要な時期だけ雇用契約できる

派遣看護師は、集団検診など季節による人手不足の解消にも活用されています。企業や工場など、団体での検診を行う場合には数多くの看護師が必要です。そのため、検診が行われる時期には看護師の派遣要請をする医療機関も多くなります。検診での看護師の仕事は、問診や血圧測定などの簡単な業務を行う場合がほとんどなので、看護の経験があれば即戦力として働くことが可能です。

また、大きなイベントの開催には、医師や看護師が配置につかなければならないことがあります。イベントだけでなく、映画やテレビ番組のロケ現場、修学旅行の引率など、待機看護師の手配を必要とされる場面もあり、期間限定で雇える派遣看護師は様々なところで求められているようです。さらに、最近では災害時に派遣看護師が手配されることもあり、ニーズは広がりつつあります。

必要なときにだけ雇用契約を結んで働くというスタイルは、雇用側だでけでなく求職者側にも必要としている人がいます。例えば、ゆくゆくは看護師として海外ボランティアに参加したいから期間限定で働きたいという人や、仕事をしながら勉強もしたいから柔軟な勤務スタイルで働きたいという人など、派遣という雇用形態をあえて選択する人もいるのです。自分のライフスタイルに合わせて働く期間やシフトを柔軟に選べるのは、派遣看護師にとってもメリットと言えるでしょう。

派遣看護師としての働き方をするには、まず看護師派遣事業者への登録が必要です。中には看護師専門の事業所もあるので、どの企業が自分の希望により近いのかリサーチして登録しましょう。派遣先は、人手不足で困っている大きな病院もあれば、一日だけの訪問入浴サービスでの看護ケアの仕事など多種多様です。場合によっては離島の診療所といった派遣先もあります。

また、派遣看護師はある程度の経験者という位置づけが強い傾向にあります。そのため、一般的に行われている入職時研修などがない場合が多いため、入職後すぐに一人の看護師として活躍することが可能です。自分がこれからどんな経験を積みたいのか、どのくらいの期間で働きたいのか、勤務地はどこがいいのかなど、希望を明確に提示して派遣先を探すと良いでしょう。

少子高齢化が進むことでますます需要の高まりが予想される

高齢化が年々進み続けている日本では、この先の未来も多くの高齢者が医療のお世話になることが予想されます。患者数が増えるということは、その医療・看護ケアにあたる医療従事者の数も必要になるということです。

医療業界では仕事量が増え、医療従事者一人一人の負担も大きくなるため、今以上に多様な働き方が求められるでしょう。また、高齢化だけでなく少子化も問題視されているため、将来的な看護師の数もさらに不足する可能性が考えられます。医療業界のさらなる人手不足が問われると、これまで以上に多様な勤務スタイルで働ける派遣看護師の需要は高まってくるかもしれません。

派遣看護師は自身のライフスタイルに合わせて勤務形態を選択することができます。例えば、結婚、出産をしたことでライフスタイルが大きく変化し、これまでのように常勤ナースとして働くことが難しくなる場合もあるでしょう。そんなときに派遣看護師であれば、「日勤のみの勤務がしたい」「短時間勤務で働きたい」という希望を選択することができるのです。また、配偶者が転勤族の場合には、各地の転居先で期間限定の看護職に就くことができます。
その他に、看護職から少し離れていたことによるブランクの不安を抱えた人や、どの分野が自分に合うのかを知りたい人なども派遣という勤務形態を選んで、お試し期間として働くことも可能です。

人によっては、色々な分野で経験を積みたいという希望から派遣看護師という働き方を選択することもあるでしょう。派遣看護師として様々な分野に挑戦することで、将来的にどんな看護にも対応できるスキルを身に付けることができるため、キャリア形成を望む看護師にも最適な勤務スタイルと言えます。