なぜ派遣看護師を選ぶのか?
看護師は、常勤や日勤常勤などの「正社員」、パートやアルバイトなどの「非常勤」といった雇用形態を選択できます。これ以外にも「派遣」といった雇用形態があることをご存知ですか?
派遣というと、賞与や昇格がない、業務範囲が限られることがある、正社員向けの待遇を受けられないことがある、そもそも看護師は派遣を選択できるのかなどのイメージを持つ人が多く、派遣の雇用形態を選ぶ人は少数です。
なぜ派遣を選ぶ看護師がいるのか、その理由について詳しくまとめてみました。
自由に雇用形態を選べる看護師
病院やクリニック、介護施設、保育園、企業、保健センター、検診センター…など、看護師が活躍できる場所はさまざま。場所のほかにも、常勤や日勤常勤、夜勤常勤、パート、派遣など、多様な雇用形態を選択することができます。
子育て中である、ブランクがある、いろいろな場所で経験を積みたいなど、自身のライフスタイルや描く看護師像によって、看護師は自由に働き方を選ぶことができます。
雇用形態で「派遣」というと、工場や事務など、限られた職種のみ対象と思っている人もいますが、看護師も派遣という働き方で活躍することができるのをご存知でしょうか。
日本で派遣業がスタートした当時は、職種に限りがあり医療関係の派遣は原則禁止とされていました。しかし、法改定に伴い、以下条件のいずれかに該当すれば派遣看護師として活躍することができます。
- 直接雇用を前提とした派遣の場合
- 育児休業や介護休業中のスタッフの代理の場合
- 特別養護老人ホームやデイサービスなどの医療機関以外の場合
- 僻地や離島などの医療従事者が不足しているエリアの場合
ちなみに、日本看護協会が2017 年度に調査した看護職員実態調査によると、正職員が最も多い82.9%、臨時/嘱託職員・派遣/契約社員・パート・アルバイトが7.4%という結果です。
正職員として働く看護師が大多数を占めるものの、最近ではワークライフバランスを大切にしたいと考える人やダイバーシティなどの影響により、正職員以外の働き方を選び家庭やプライベートなどの大切な時間もしっかり確保している看護師は少なくありません。
このことから、派遣という働き方を選ぶ看護師が一定数いることがわかります。次項以降では、派遣看護師を選ぶ理由についてご紹介していきます。
しっかり給与をもらえる
派遣の場合の給与形態は、月給制ではなく時給制です。医療機関に直接雇用される非常勤と比べると、派遣のほうが時給は高めに設定されています。正職員のようにボーナスは出ないものの、フルタイムでしっかりシフトに入れば正職員に見劣りしないくらい稼げるでしょう。
また、時給の水準が低い地方や給与設定が低めの病院でも、派遣であれば比較的しっかりした収入を見込めます。もしも、時給や条件などに相違があった場合でも、派遣会社が病院に事実確認や交渉を代行してくれますので心強いです。
精神的・体力的な負担を軽くしたい
医療の最前線で活躍する看護師は、患者との距離が近いことから「お世話になりました」「あなたがいてくれてよかった」「ありがとう」と感謝の気持ちをダイレクトにもらえる職種の1つです。
逆を言えば、失敗が許されないため勤務時間中はずっと気を張った状態がつづきますし、クレームが発生した場合はまず看護師に言うという患者は少なくありません。
しかし、派遣看護師の場合、「外部から来ている人」と一線引かれることが多く、基本的には正職員に責任ある仕事を任せる傾向にあるようです。派遣看護師は雑務的な仕事を請け負うことが多いため、正職員として働いていた頃のようなプレッシャーを感じる場面は少ないと言えるでしょう。
また、看護師はまだまだ女性社会の職種です。女性の多い職場特有の人間関係をストレスに感じる人は少なくありません。看護師の年齢層は幅広く、スキルや経験年数の違いから「この人とは意見が合わない」ということも多々あります。
意見がぶつかる以前に、「あの先輩は怖いから意見を伝えるなんてとてもできない」というケースもあるでしょう。患者の前でも常に気を張った状態であるのに加え、仲間にも気を使う状況が続けば人間関係に悩みを抱えてしまうのも当然です。
一方、派遣であれば雇用期間が決まっていることと、外部から来ているということから、人間関係に一線引いて働けるというメリットがあります。影での悪口や派閥などの面倒なことに巻き込まれにくい傾向にあるでしょう。
仕事とプライベートを両立させたい
看護師は、全国的に売り手市場の職種です。人手不足だと感じる医療機関は多く、その不足分を補うために在籍中の看護師1人あたりの業務量は自ずと増えてしまいます。
夜勤や準夜勤といった変則的な勤務スタイルに併せて、残業やオンコール、休日出勤などのハードワークが重なれば、体力的な負担がストレスへと繋がるのは言うまでもありません。
職場によっては、休憩時間も満足に取れないというところも…。仕事を頑張っているだけでは人生をより充実したものとすることはできません。友人や家族と過ごす、趣味に費やす、といったようにプライベートの時間も満たされなければストレスは溜まる一方です。
また、ストレスを発散させたくても、看護師以外の友だちとはなかなか時間が合わない、休日は疲れて家で寝たいなどから、家と職場の往復だという看護師は意外と多くいます。
このような理由から、「プライベートももっと大事にしたい!」と、常勤看護師から派遣看護師へ雇用形態を変えたいと考える人がいるようです。派遣という働き方であれば、決められた勤務時間以上働く必要はありません。
時間外に開催されるMTGや研修、勉強会なども参加が免除されることがほとんどです。オンコールや休日出勤などの時間外労働も発生しないため、正職員ほど時間にしばられるということは少ないでしょう。
自分の都合に合わせて勤務をコントロールできるのでプライベートを充実させることができます。ストレスを感じているのであれば、無理して同じ職場・同じ雇用形態で働く必要はないのです。
結婚や出産などのライフスタイルの変化に合わせたい
女性が大多数を占める看護業界では、女性にとって人生の節目ともいえる結婚や出産を機に働き方を見直す看護師が多くいます。「子どもとの時間を大切にしたい」「家族と一緒に過ごす時間を増やしたい」という看護師とって、勤務時間を希望通りにコントロールできる派遣看護師はとても魅力的です。
派遣であれば時給が高く設定されているので、収入面でも安心でしょう。独身時代は仕事優先でがんばってきた分、結婚や出産後は家庭優先でがんばりたいという看護師に最適です。
また、日進月歩の医療の世界では、常に医療技術が更新されています。昔の技術のままでは現場で活躍できない可能性もあるため、結婚や出産などでのブランクが長いほど正職員として職場に復帰するのは不安だという看護師は少なくありません。
派遣であれば、雑務的な業務を任されることがほとんどです。徐々に勘を取り戻しながら看護業務に慣れていくことができますし、体力面に不安がある場合でも段階的に身体を慣れさせることができます。
まとめ
派遣看護師は1つの病院でキャリアを構築できないイメージがあることから、キャリアアップには不利だと思っている人は少なくありません。しかし、さまざまな現場で即戦力として働いており、多くの経験を積んでいることもまた事実です。
1つの職場だけではできないような経験をできるのも、派遣看護師のメリット。看護師はいろいろな雇用形態以外にも、科目や場所などいろいろな働き方が選べる職種です。
こんな看護師になりたいという方向性を定めるための旅としても、派遣という働き方は有効であると言えるでしょう。派遣として活躍していれば、看護師スキルの低下を心配する必要もありません。
それらの経験は、いずれ安定している常勤看護師に戻りたいと思ったときにも大きな武器となるはずです。
派遣に興味のある常勤看護師は要チェック!
人材紹介会社を利用して探そう
派遣看護師として活躍したい場合、個人で求人を探すよりも人材紹介会社を利用したほうが効率よく探すことができます。なぜなら、人材紹介会社では一般では公開されていない非公開案件を含む数多くの求人を保有しており、転職の成功に向けて様々なサポートも行ってくれるからです。サポートの中には履歴書の書き方指導や面接の対策も含まれているため、採用の確率をより高めることができるでしょう。
なぜ派遣看護師を選ぶのか?
女性の多い看護業界において、変化するライフスタイルに合わせながら勤務コントロールができる派遣看護師は収入と雇用が不安定、というネガティブなイメージがある一方、「働き方を自由に選ぶことができる」「体力的・精神的負担が少ない」「プライベートを充実させることができる」といった点もあるため、近年注目を集めている働き方です。
まずはメリットを紹介!
派遣看護師は、派遣先の職場ではなく派遣会社と雇用を結んでいます。派遣先との間に派遣会社が介入しているため、急な残業を頼まれても角を立てずに断れるでしょう。また、もし何か不満があっても、我慢せずに派遣会社に相談すれば改善してもらえる可能性もあります。直接話すわけではないため、派遣先との間に余計な摩擦を生むこともありません。他にも、自由度が高い、多くの経験を積める、ミスマッチを防げるといったメリットがあります。